秋になると、北海道各地で綿を被った小さな虫「雪虫(ユキムシ)」がたくさん飛んでいるところを見ることができます。
そして、この雪虫を見かけると2週間後に初雪が降ると言われています。札幌では10月中旬頃に発生し、例年10月末から11月上旬に初雪が降るのです。
冬の到来を知らせる白い虫、空一面を覆う雪虫はなんともロマンチックな存在です、と言いたい所ではありますが、なんとも厄介な昆虫でもあるのです。
雪虫の正体は、いわゆるアブラムシの成虫なのです。北海道以外では、白い綿を被っていない小さな虫(アブラムシの成虫)がたくさん飛んでいるところを見かけることができますが、その虫の綿を被ったものが雪虫と思ってください。
その虫が、秋になると大量に発生するのです。年によって大量発生することもあれば、それ程の数でもない年もあり、短期間で集中的に発生することもあれば、多少時期をずらして発生することもあります。
公園などの緑が多い場所で多く見られ、雪虫の大群の中を歩いたり自転車で通ると髪や服に付くのはもちろんのこと、目や口にも入ってしまうため非常に厄介なのです。髪や服について雪虫は、上手く払わないとつぶれて付着してしまいます。
雪虫はアブラムシの成虫と話しましたが、正式にはワタアブラムシ類を雪虫と呼び、トドノネオオワタムシ、リンゴワタムシ、ケヤキフシアブラムシ(綿なし)など複数の種類が存在します。
トドノネオオワタムシは、ヤチダモの木で孵化し、初夏の時期にトドマツに移動します。そして、秋にトドマツからヤチダモの木に移動するときに成虫となり雪虫として発生するのです。
白い綿は炭水化物を主成分とした蝋物質が糸状に変化した物だそうです。
初夏に舞う綿毛ポプラの種子、秋の風物詩ともなっている雪虫、そして冬に降る雪、北海道には季節により様々な白い綿が翔ぶ姿をみることができるのです。