北海道で訪れたい絵になる観光地といえば、タウシュベツ川橋梁(きょうりょう)、愛称めがね橋は外せません。
タウシュベツ川橋梁は、上士幌町(かみしほろちょう)の糠平湖(ぬかびらこ)にかかっている旧国鉄士幌線(廃線)の長さ130メートルのコンクリート製アーチ橋です。
帯広から大雪山方面へ、山深い樹海にあるため地元の人々のみが知る秘境の橋でしたが、2001年に北海道遺産に選定され、2008年にJRのポスターに採用されたことで人気が高まりました。
糠平湖は水力発電用人造ダム湖で、年の降水量や雪解け水、季節、電力需要によって水位が30m近く変化し、橋梁全体が水没してしまう時期もあれば、水が引いて全体を見渡せる時期もあります。冬は雪に覆われ、春には湖と緑の木々に囲まれ遠景には雪山を望み、夏から秋にかけては水没してしまいます。様々に移ろう橋の姿と四季を彩る景色は幻想的です。
そして、その特徴から「幻の橋」とも呼ばれています。
「幻の橋」と呼ばれる理由はもう一つあります。タウシュベツ川橋梁は、崩落の危機に瀕しているのです。1937年に完成したコンクリート製の橋は、1955年の糠平ダム建設のため使用されなくなりました。その後、水没時期の水圧、結氷期前後の氷による外力、凍結・融解を繰り返す凍害などにより橋の損傷は拡大し、2003年の十勝沖地震では中央部の一部が崩落し、現在も劣化が続いています。
アーチ橋梁群は北海道遺産に選定されていますが、財政面の理由により保存措置の対象となっておらず、あと数年で崩落してしまうと言われています。今この時に、目に焼きつけ、写真に収めるほかないのです。
冬季に湖面は雪で覆われてしまいますが、降雪が少ない時期には表面の雪を除くことで、凍った湖面を見ることができます。そしてその中には「アイスバブル」という自然現象を見ることができるのです。「アイスバブル」は、湖底からわき出たガスなどの気泡が透明な氷の中に閉じ込められてできたものです。なんとも不思議で幻想的な模様も必見です。
また、糠平湖は1月に凍結した後、湖面が徐々に下がって行きますが、その凍結した湖面が切り株にのった状態で残ることがあります。その姿がキノコに似ていることから「きのこ氷」と名付けられています。
1.観光時期
- 4月~5月は雪も水も緑もなく、茶色に包まれ、見栄えはそれほど良いものではありません。
- 6月頃に急に水位が上昇し始め、木々の緑が芽生えてきます。
- 7月~12月頃までは水没、または上部が少し見える程度です。
- 1月頃から雪に埋もれた橋が徐々に湖上に出て来て、3月頃まで冬季の見頃となります。「アイスバブル」や「きのこ氷」(2月~3月頃)もこの頃が見頃、ワカサギ釣りの時期でもあります。
NPOひがし大雪自然ガイドセンター のFacebookで、日々のタウシュベツ橋の情報を知ることができます。確認した上で観光することをおすすめします。
2.見学方法
国道273号線のタウシュベツ展望台に駐車場があり、そこからは遠景を望むことができます。
また、タウシュベツ川橋梁の近くまで寄りたいときは、NPOひがし大雪自然ガイドセンター によりツアーが行われています。
冬季はツアーを使用せず、車を駐車場に止めて湖面を歩いて橋近くまでアクセスできますが、林を抜けたり、寒い中で長距離湖面を歩く必要があり、帰りは駐車場の位置が分かりづらくなるためお勧めできません。
【住所】
北海道河東郡上士幌町字ぬかびら源泉郷
【アクセス】
道東自動車道帯広音更インターから国道241号線で上士幌方面へ。上士幌町より273号線にて三国峠方面へ22km。
【公式サイト】
NPOひがし大雪自然ガイドセンター