温泉の種類というと、みなさん何をイメージされますか?温泉成分による泉質、露天風呂と内湯(内風呂)、男女別浴場と混浴などを思い浮かべる方も多いと思います。
ここでは、温泉分析書の泉質名に現れる4つの要素について説明します。
酸性・含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉(低張性 酸性 高温泉)
①泉質名(緑色)
②浸透圧(オレンジ色)
③液性(水素イオン濃度/pH)(水色)
④泉温分類(ピンク色)
1.泉質による分類
泉質は10種類に大別され、「掲示用泉質」と呼ばれる略称で表現することができます。正式な泉質名は、イオン名との組み合わせや特殊成分などが記載されて細分化され、名称も非常に長いものとなります。
掲示用泉質は、以下の10種類です。
単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射能泉、含よう素泉 |
2.浸透圧による分類
濃度が異なる2つの液体は、半透膜を通して濃度の高い方に移動し、このときの圧力差を「浸透圧」といいます。温泉は各種の塩類が溶けていて、人間の体の細胞液との浸透圧により分類することができます。人間の体細胞は8.8g/kgの塩分濃度といわれています。
性質 | 浸透圧 | 状態 | 効果 |
---|---|---|---|
低張性 | 8g/kg未満 | 浸透圧が低い (温泉の塩分濃度<体細胞の塩分濃度) | 水分が吸収され、 ふやけやすい |
等張性 | 8~10g/kg | 同じ浸透圧 (温泉の塩分濃度=体細胞の塩分濃度) | ー |
高張性 | 10g/kg以上 | 浸透圧が高い (温泉の塩分濃度>体細胞の塩分濃度) | 温泉成分が吸収されやすく、 湯あたりしやすい |
3.水素イオン濃度(液性)による分類
水素イオン濃度指数 | 液性 | 効果 |
---|---|---|
pH8.5以上 | アルカリ性 | 美肌効果あり、ツルツル |
pH7.5~8.5未満 | 弱アルカリ性 | 美肌効果あり、ツルツル |
pH6~7.5未満 | 中性 | |
pH3~6未満 | 弱酸性 | 殺菌効果あり、ピリピリ |
3未満 | 酸性 | 殺菌効果あり、ピリピリ |
4.泉温による分類
泉温による分類 | 温度 |
---|---|
高温泉 | 42℃以上 |
温泉 | 34~42℃未満 |
低温泉 | 25~34℃未満 |
冷鉱泉 | 25℃未満 |
温泉の種類について、温泉分析書の泉質名に現れる4つの要素について説明しました。
(参考文献:温泉ソムリエテキスト)