おたる水族館は、日本海に面したニセコ積丹小樽海岸国定公園の中にあり、60年以上の歴史を持つ水族館です。札幌から車で1時間程でアクセスでき、年間35万人が訪れる北海道を代表する水族館でもあります。そして、大水槽3基を含む62水槽に、約250種類5,000点もの魚類、哺乳類、無脊椎動物などが展示されています。
おたる水族館の最大の特徴は、「海獣(かいじゅう)公園」という海を仕切っただけの大自然そのもののエリアにあり、そこにはアザラシやトドなどの海獣が暮らしています。
「海獣公園」は、季節や天気も自然そのものなので、冬になれば雪も積もり、嵐の日には高波にもなります。そして、冬になると野生のアザラシやトド、オジロワシやオオワシ、春にはイルカの群れが水族館近くまで来ることがあります。
このような野生に近い環境で暮らしてるおたる水族館の海獣たちは、飼育動物とはいえ生き生きとしているのです。
「海獣公園」では、セイウチ、アザラシ、トド、ペンギンそれぞれ10分間のショーと20分間の「ペンギンの海まで遠足」が行われています。
各ショーの詳細は、おたる水族館 ショーのご案内 をご参照ください。
トドのショーでは、大きな体をしたトドが高台からダイビングをしたり、間近でエサの魚を食べる様子を見ることができます。
至近距離で見るトドはかなりの迫力があり、圧倒されます。
ペンギンショーは、言うことを聞かない勝手気ままなペンギンたちに癒されます。この写真では、ペンギンたちがハードルを越えるはずが、みんな避けてエサの魚を目指して一直線に駆け寄っています。この無邪気な行動に人気が集まっているそうです。
プールでプカプカ浮かぶペンギンは、まるで空を飛んでいるよう。
「ペンギンの海まで遠足」では、フルボルトペンギンたちがお客様の前を行進し、自然の海を仕切っただけの海まで遠足します。ペンギンが歩く姿は、なんとも言えない可愛さがありますね。
海に入ると、みんな楽しそうに泳いでいました。
満足して陸に上がるペンギン。
プールに戻ってからも、楽しそうにしています。
「海獣公園」と並んで人気があるのが「イルカスタジアム」で行われる「オタリア・バンドウイルカショー」(20分間)です。
アシカの一種であるオタリアですが、これほどジャンプをできるとは思いませんでした。
イルカショーでは、豪快なジャンプや立ち泳ぎなど様々なパフォーマンスを繰り広げ、20分間のショーはあっという間に終わってしまいますが、満足度も高いです。
ショーが終わると、サービスタイムのような形でイルカを間近で見ることができました。イルカの流線形のフォルムは、なんとも美しいですね。
他にもセイウチのショーとアザラシのショーがあるなど、海獣たちを身近に感じることができる楽しいショーが用意されています。
日本近海には5種類のアザラシが生息していますが、このうちクラカケアザラシを除く、4種類のアザラシ(ゴマフアザラシ、ゼニガタアザラシ、ワモンアザラシ、あごひげアザラシ)が飼育展示されています。アザラシだけで約50頭飼育されており、これは断トツで日本一だそうです。
ホッケやコマイなどの「アザラシのエサ」も販売しており、ゴマフアザラシとゼニガタアザラシへ給餌することも出来ます。なかなか貴重な機会ですね。
居眠りしているアザラシは、なんとも癒されますね。
北海道の水族館らしく、北国の自然を感じさせる魚たちも数多く展示されています。そのひとつが、国内最大級の淡水魚「イトウ」です。
イトウというと、「釣りキチ三平」を思い出す人もいるのではないでしょうか。北海道にしかいないという幻の魚イトウ。それを釣り上げるために、野ネズミ形のルアーを開発し挑む姿はとても印象的でした。そんな幻の魚イトウを間近で見ることができます。
普段何気なく食べているホッケですが、泳いでいる姿はなかなか神秘的ですね。
他にもオショロコマ、エゾトミヨ、エゾホトケドジョウ、二ホンザリガニなどの絶滅危惧種も多数展示されています。
そして多くの人が愛してやまない「流氷の天使」「氷の妖精」クリオネも見ることができます。クリオネは、意外にも巻貝の仲間ですが、成長するとともに貝殻を失ってしまいます。クリオネの正式な名前(和名)はハダカカメガイといい、流氷の季節になると特に北海道のオホーツク海側で多く見ることができます。
体長は約1~3cmと意外と小さく、初めて見る方は少し驚くかもしれません。体は円筒形で、左右に張った翼状の足(翼足)を羽ばたくようにして水中を泳ぎます。この姿が天使に似ていることから「流氷の天使」と名付けられました。体は頭部と腹部に分かれていて、半透明で体内が透けて見えます。赤く見えるのは生殖腺や中腸腺です。
砂の中から顔を出しているのはチンアナゴです。狆(チン)という犬に似ているため、チンアナゴという名前がつけられたそうです。体長は30cmほどで、ヘビの鱗のような模様も可愛らしく見えてくるから不思議です。
こちらはニシキアナゴです。体長は40cm程で、意外と長いです。ポップなオレンジ色が映えますね。
こちらは、巨大魚ナポレオンフィッシュ、別名メガネモチノウオです。ベラ科では世界最大で、成長すると2mを越えるそうです。色や大きさ、迫力ある顔からダイバーからも人気があるそうです。
ナポレオンフィッシュは生態が面白く、生まれた直後はすべて雌で、大型になると雄に性転換します。中華料理では最高級魚として食用とされていますが、乱獲されてしまったことで2004年にワシントン条約で商取引が規制されるようになりました。
こちらもみんなのアイドル、カクレクマノミです。アニメ映画「ファインディング・ニモ」のモデルとなった魚です。
クマノミは、毒を持つイソギンチャクを隠れ家として生活していて、クマノミを捕食しようとする魚はイソギンチャクの毒を恐れて近づくことができません。また、クマノミが食べ残したエサをイソギンチャクが食べることで、お互いに共生関係を気付いています。クマノミの身体は特殊な粘液で覆われているため、イソギンチャクの毒が効かないそうです。
他にもアカスジモエビなどの甲殻類や、色とりどりの熱帯魚などが展示されていて、心が躍ります。
コツメカワウソは、透明なトンネルで二つの水槽を行き来する様子を見ることができます。午前の餌の後はお昼寝をすることが多いため、活発に動く様子を見る場合は特に開館直後がおすすめです。
最後に世界的にも珍しいネズミイルカをご紹介します。
ネズミイルカは、北海道沿岸に生息する小型の鯨類で、学術研究目的以外には生体での保持が禁止されています。そのため複数での飼育展示は、日本ではおたる水族館のみという貴重なイルカなのです。おたる水族館では、北海道大学水産科学研究院と共同で、定置網に迷い込んでしまった個体を保護し、その生態や習性などを研究しているそうです。
2匹のネズミイルカは、高速で「ほのぼのプール」を泳ぎ回っていますが、稀に止まってカメラの方へ寄ってきてくれることがありました。その顔は微笑んでいるようにも見え、犬や猫のような親近感を覚えました。貴重なネズミイルカ、見逃さずぜひともご覧くださいね。
おたる水族館は、自然環境そのものの「海獣公園」とそこで生き生きと暮らすセイウチ、アザラシ、トド、ペンギンの元気な姿、そしてそれぞれの海獣の楽しいショーを見ることができました。また、アシカの一種オタリア・イルカショーでは、盛大な水しぶきとともに豪快なジャンプを楽しめます。水槽エリアでは、北国特有の魚から熱帯魚まで、様々な魚などを生態を含めた環境でじっくりと見学することができます。
ご家族や友人同士、そして恋人同士と様々なシーンで1日中楽しめるアミューズメント施設となっていますので、余暇のレクリエーションに、そして魚類、哺乳類・無脊椎動物などの観察にぜひご利用ください。
【住所】
北海道小樽市祝津3丁目303番地
【営業時間】
夏季 9:00~17:00(最終入館 16:30)
※秋は閉館時間が早まります
冬季 10:00~16:00(最終入館 15:30)
※通常営業、夜間延長、冬期営業、休館日は年により異なりますので、おたる水族館のサイトをご確認ください。
【料金】
大人(高校生以上)1500円、小人(小中学生)600円、幼児(3歳以上)300円
年間パスポート:大人3000円、小人1200円、幼児600円
※料金は変更されることがあるため、おたる水族館のサイトをご確認ください。
【駐車場】
通常営業:大型車1000円、中型車800円、小型車600円、バイク200円
冬期営業:無料
【お問い合わせ】
おたる水族館
0134-33-1400
【公式サイト】
おたる水族館
https://otaru-aq.jp/
【アクセス】
・自家用車:札幌から約60分
・JR
JR小樽駅下車。おたる水族館セットきっぷ(JR+バス+入館券)をJR北海道の主な駅旅行センター(ツインクルプラザ)で発売しています。
・北海道中央バス
JR小樽駅から小樽駅前バスターミナル3番のりば「水族館」行き、終点「おたる水族館」へ。海周りと山周りの2経路あります。
小樽市内1日乗車券のご利用で、水族館入館料金の割り引きがあります。
※札幌からのバス往復券と入館券の割引セット券もあります。
バスの時刻表などアクセスの詳細は、おたる水族館 アクセスマップ ページをご確認ください。